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ある大学生二人が夏休みに中国を旅行していた。二人とも中国の旅行になれており、ありきたりの観光地では物足りなくなっていた。
二人は地元の人間でも余り近づかないという路地裏へ興味半分で踏み込んだ。そこでは怪しげな屋台などが立ち並び、不気味な雰囲気をかもし出していた。
二人はびくびくしながらも怪しい露店の前を進んで行った。
すると、これまた古ぼけた見世物小屋を見つけた。
やばい路地に入り込んだ記念になると思い、二人は見世物小屋へと入った。
小屋の中は薄暗く、しかし異様な熱気が漂っていた。
観客達の視線は舞台の上に注がれている。ふたりも同じように舞台の上の見て愕然とした。
そこには驚くべき光景があった。
舞台の上にはビール樽が置かれていて、近くには見世物小屋の関係者らしい人が立っている。
そして良く見るとビール樽の上からは男性の首がにょきっと突き出している。
だが下の樽の大きさを見る限り、首を出している男性の体が入りきるスペースは存在しない。
―そう、手足を切断でもしない限りは。
『舞台の上の男は手足を切断されて樽に突っ込まれている?』
まさか!二人は顔を見合わせた。
しかし次の瞬間、舞台の上の男が口を開き、こう叫んだ。
「助けてくれ!俺はW大学3年の●●だ!
だれか日本人がいたら助けてくれ!たのむ!おれはW大学・・・」
その叫びが出し物の一つとでも思っているのだろうか、
見物人からは笑い声や大声が上がっていた。
男性の隣に立っている見世物小屋の人間もニヤニヤしている。
ふたりはすぐに見世物小屋を出た。
小屋を出るときに舞台の端にチラリと「日本達磨」と書かれた垂れ幕が見えた。
やはりあの男性は手足を切られて達磨のようにされ、見世物にされていたのだ!
二人は帰国するとさっそくW大学に●●という学生について調べた。
すると確かに●●と言う学生が在籍しており、一人で中国に旅行に行ったまま行方不明になっていることがわかった。
- 2007/08/30|
- カテゴリ:ダルマ(達磨)
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